栃木でも「持ち家やマンションではなくて、アパートのような賃貸でも十分ではないか?」
とお考えの方もいらっしゃるでしょう。

では、実際に50年間アパートに住んだ場合、幾らくらい費用がかかるのでしょうか?
ざっくり計算してみましょう。

計算の基本情報:家賃6万円 50年間 2年毎の更新

6万円×12ヶ月×50年=3,600万円
更新費:6×25回=150万円

3600万円×150万円=3750万円

大まかに計算すると3750万円になります。
この金額の中には、メンテナンス費用や、固定資産税の費用も含まれておりますので、この金額だけを見ると、アパートのような賃貸に住んだ方が安くて気が楽、と思われるかもしれません。

しかし、ここには大きな問題が潜んでいるのです。

断られる賃貸

賃貸の場合、高齢者や障害者の入居を嫌がる傾向があるのです。

例えば、同じお家に50年住む事は難しくないと思いますが、賃貸の場合には建て替えや用途変更のために出ていかなくてはいけない時があります。

以前は、法律上いすわる事も出来たのですが、今ではそのような事は出来ません。
家主さんから「出て行って欲しい」と言われたら、あなたはそのアパートを出ていかなくてはいけないのです。

あなたが、80歳の時でも、90歳の時でもです。
90歳なんて、考えられないと思うかもしれませんが、男性の平均寿命が80歳、女性の平均寿命は87歳!を超えているのです。

あなたがその年齢になっても、全く不思議ではないのですよ。

家主さんは高齢な方に入っていただくのを嫌がります。

例えば、最近話題になっている孤独死問題。
そのアパートで孤独死のような事件が起きたら、次に入ってくる人もなかなか見つからないでしょう。
場合によっては「事故物件」(自殺や殺人事件など事件性の有った物件)として、取り上げられるようになります。
そうすると、もっと困ったことになります。

それに、孤独死をされた家主さんも、その処理に多額の費用がかかってしまうかもしれません。

「このような問題があるのなら、無理して高齢な方を入れない方が良い、」
と多くの家主さんは考えるでしょう。

そこで国土交通省が考えた「断らない賃貸」

断らない賃貸:朝日新聞

そこで、国土交通省が所得の少ない人やお年寄りらの賃貸入居を「断らない住宅」を増やそうと始めた制度が「断らない賃貸」です。

この制度、なかなか凄いんです。

空き家の場合、改修に200万円、家賃補助に月最大4万円もの支援を、国や自治体から受け取れるのだそうです。

しかし、この制度の利用率が、目標の0.4%にしか達していないのだとか。

この低さは、自治体が財政難などを理由に、家主への支援が低調という事もあるそうです。
という事は、これから高齢者が増えて行くのは確実ですから、より行政からの支援を受けるのは厳しくなる、と考える事は難しくありません。

高齢になると、体も不自由になり、思考能力も衰えてきます。
そのような時に路頭に迷わないためにも、家は自分で持っていた方が安心だし安全だと思うのです。

参考文献:朝日新聞 2018年5月6日号