今でもなくならない、住宅ローンの不正融資

住宅ローンを利用するには、様々な審査が必要です。
年収や、現在のお勤め先、家族、お住まい、などなど。

以前は、契約書を2種類作って多めに借りて車を購入するなどという技もありましたが、今はそのようなことはまず出来ません。

しかし、悪用する人は今でもいるようです。

朝日新聞:2019年5月17日号に掲載されていました。

住宅ローンを不正に利用して、不動産投資物件を購入するのだそうです。

最近ですと「かぼちゃの馬車」と「スルガ銀行」の問題が話題になりましたが、またこのパターンとは違います。

今回は「フラット35」などの「住宅ローン」を利用するのです。

では、住宅用のローンを借りて何を購入するのか?
それが投資用の中古マンション。

その中古マンションを購入して、貸して、差額が利益になるわけです。

では、誰がこの方法を勧めるのでしょうか?

不動産屋さんだそうです。

不動産屋が中古マンションの購入を斡旋

不動産屋さんは、物件を販売、または仲介して利益を出しています。

しかし、そんなに簡単に売れたり仲介できたりするものではありません。

資金の潤沢なお客様がそんなにいるわけではありませんので。

そこで不動産屋さんが斡旋するのが「融資」です。

中古マンションを賃貸のために購入するには、本来は「事業用融資」を利用します。

事業用融資は、返済期間が短く金利が高い

この「事業用融資」。
多くの方が使われる住宅ローンとは随分と違います。

借入期間が短く、金利も高めなのです。

そのため、しっかりと計画しておかないと返済が大変なことになってしまうのです。

住宅ローンは、返済期間が長く金利が低い

それに対して住宅ローン。
特に「フラット35」。

「フラット35」の「35」は、35年間借りられるという意味なので事業用と比べると数倍ほどの長期間です。

金利も安定していて低いので、返済計画がしやすいというメリットがあります。

事業用融資は短期なので返済額が大きくなりますが、住宅ローンは長期なので返済額も少なく計画上安全に見えやすいのです。

ですから、ズルをして事業用にも使う人がいるのです。

でも、いいことばかりではありません。

住宅ローンを不正利用すると、後が大変です

これだけ書くと簡単に使えそうに思えてしまうかもしれませんが、そうはいきません。

やめておいたほうが良い理由はここにあります。

住宅ローンは2重に使えない

住宅ローンは、どのタイプでも2重に使うことができません。

と言うことは、後で自分の家を購入しようとした時に、この投資用に使ってしまった住宅ローンと、もう一つ別の住宅ローンを利用することができないのです。

今回の記事で紹介されている方も「20代の若い女性」となっています。

と言うことは、将来家を購入する可能性は大きいはずです。

その時に、新しい住宅ローンを借りるには、以前借りた住宅ローンを返済しなければいけません。

それができるのであれば、そもそも賃貸用に住宅ローンなどは利用しないでしょう。

ご両親のために、自分の住宅ローンを使ってしまい、自分の家をつくるのに大変な思いをしたと言う方もいらっしゃいました。
この規則はかなり厳しいので、自分の将来のことも考えておいてくださいね。

バレれば、全額 即刻 返金

不正融資が銀行にバレた場合、残額は即刻返金を求められます。

残額で2,000万円があれば、2,000万円を用意しなければいけないのです。

現実には、難しい方が多いのではないでしょうか?

そこで「破産」と言うことになるでしょう。

この場合、最低10年間は融資を受けられなくなります。

あなたにとって、良い事はありません。

儲かるのは不動産屋

では、誰もが不幸になるかと言うとそうでもありません。

不動産屋さんはお咎め無しで利益を上げているようです。
書類偽造などはしているようですが。

今の所、監督する国土交通省や東京都などの行政処分を受けていないようです。

栃木県内では無いと思いますが、このような新聞を読んで悪知恵を利用とする人もいるかもしれません。

真似はしないでくださいね。

消費者金融を利用すると、住宅ローンは使えない

住宅ローンや事業用ローンとは違う「消費者金融」もありますね。

テレビで宣伝していたりする、あれです。

この「消費者金融」の利用にも注意してください。

「消費者金融」を利用している、または口座が残っているなどすると、「住宅ローン」は使えません。
審査で引っかかります。

「なんで、そんな事わかるの?」
と言う疑問はごもっともです。

実は、金融業界は共有のデータベースを持っていて、お互いに調べられるようになっています。

「どこで、どれくらい借りたか」「いつ頃破産したか」などの情報を簡単に調べられるのです。

そこで「消費者金融」が出てきてしまうとアウトになってしまいます。

「どうしてもお金が必要」
と言う方が、ご夫婦の間にも内緒で利用してしまい、家づくりの時に判明した、なんて言う恐ろしい話もあるようです。

自分の金融データがどのようになっているかは調べることが出来ます。

気になる際には、ご相談ください。

参考文献

朝日新聞:2019年5月17日号