鹿沼市にある世界トップ企業「ナカニシ」と言っても、知らない方も多いでしょう。
しかし、あなたのナカニシの製品にお世話になっているかもしれません。

「ナカニシ」が作っている製品は、歯を削る「スピンドル」です。
あの、口の中に入れてアガアガしてしまう、あれです。

それらの製品は正解130カ国以上に輸出され、世界シェアは23%にもなるのです。

利益率も物凄く高く、経営体質の面からしても超優良企業となっています。

設計したのは「北川原温建築都市研究所」。
昨年見学した「「中村キース・ヘリング美術館」を設計した人でもあります。
下の文字をクリックすると、「中村キース・ヘリング美術館」のブログを見ることができます。

新社屋が完成したのは2017年。
やっと見学の機会が訪れました。

外壁は、アルミ製

まず目に入るのがこの外観。
まるで光り輝いているようです。

外壁は、特注のアルミ押出成形材で作られています。

見ると、凸凹が結構あります。

一見非効率にも見えるかもしれませんが、このパネル内には外断熱層や自然換気装置などが設置され、建物内外の環境を制御することで快適な内部環境を守るのだそうです。

手前には広場

建物前には大きな広場があります。
公園のようですが、会社の敷地内です。

玄関前には飾り

車寄せにもなっている玄関前には、可愛い飾りがあります。
黄色い輪っかが浮いています。
何か、意味があるのかな。

玄関ホール

外観は、シャープな感じで直線に見えましたが、中には曲線が多用されています。

受付

玄関ホールも、かなり広く取られています。
本社とショールームを兼ねているためでしょう。

作っている「スピンドル」

玄関ホールには、制作している「スピンドル」が展示してありました。

この写真を見ると「あれか〜〜!!」と思う方も多いでしょう。

丸い中央ホール

建物の真ん中には、丸いホールがあります。

まるで、ニューヨークにある「グッゲンハイム美術館」のようですね。

ホール入り口

このホールの丸い壁は傾斜しているので、入り口などにも工夫がされています。

贅沢な作りです。

見学には靴のカバー

ここから見学がスタートするのですが、靴のままでなくて靴のカバーが準備されていて、それを履きました。

医療機器を作っているのですから、衛生面には特に注意を入れているのでしょう。

館内見学

階段を登り、上がっていくと中央ホールの外側にある廊下に出ました。

この傾斜した壁と丸い窓が斬新。
作るのも難しかったでしょうね。

丸窓からは、中央ホールが見えます。

丸窓を覗いてみました。
なんとも、宇宙船感覚、とでも言いますでしょうか。

これだけの大きい建物ですと、エアコンや換気用の出入り口が目立つはずなのですが、それが全くありません。
その収まりにも驚かされます。

ちなみに、中央ホールは上の写真の天井の黒い部分に空調設備があるそうです。

歯科機器の体験スペース

歯科機器の体験スペースが用意してありました。

歯を削るハンドスピルの先は高速回転をしていますが、その回転数は45万回転/分にもなるそうです。

通常使う回転数として、車のエンジンの回転数は多くて3000回転/分ですから、約15倍!

振動して削る超音波スケーラーは、3万回/秒なのだそうです。

桁違いですね。

私も体験させていただきました。

これらの機械を使って、ウズラの卵の表面の模様を削っていきます。
ウズラには模様だけが削られ卵がどんどん白くなっていきます。

それでも穴は空きません。
少しだけ、削っているのですね。
歯が削られていく様子を見ているようです。

会議室

会議室も。
なかなか使いやすそうですね。

展示スペース

製品の細かい機能などを体験できるコーナーもありました。

ここのデザインは、NHKの番組などをやっている方に頼んだそうです。

歴代の機器を展示

今までの機器を展示してあります。

こちらは、1950年の頃のスピンドル。
基本的な構造は今と同じなのですね。

「ナカニシ」のスピンドルの特徴は、回転部分を空気の圧力で回している事です。
それで特許を取り、成長しました。

中央ホールへの出入り口

中央ホールへの出入り口も、箱型になっています。


防音と、斜めの壁のためですね。

接客室

一番上の階には、世界中からいらした方をおもてなしするスペースが用意されています。

屋上

屋上は、とても気持ちがいい空間です。
鹿沼の山々をキレイに見ることができます。

この影のラインがキレイですね。

応接室

ここで、重要な商談が行われるようです。
奥にあるテーブルでは、食事などをするそうです。

お祈りの前の準備のために

世界中からお客様がいらっしゃりので、宗教への配慮も必要です。
そこで、お祈り前に行われる足を洗うための場所まで用意されていました。

このような場所、初めて見ました。

別棟

新社屋から見えた建物の壁には、太陽光パネルを付けていました。
進んでいますね。

中央ホールへ

最後は、中央ホールにある通路を利用して降りていきました。

緩い下り坂なので、距離がありそうに見えますが、あっという間に降りられます。

降りている途中に気がついたのですが、このホールは色々な配慮がされて作られていました。

音響への配慮

このようなホールは、音が響きやすいものです。
そこで吸音材を貼ります。
その吸音材が、この丸い部分。

何かの飾りかと思っていたのですが、それだけではないのですね。

吸音のため表面は柔らかく、生地でできているようでした。

手すりは、布

この手すり硬そうに見えますが、実は布で出来ています。

ですから、叩くとボヨンボヨンします。

理由は定かではありませんが、

  • 曲線をキレイに出すためなのか、
  • 軽くするためなのか、
  • 音を響かせなくするためなのか、

色々な理由があるのでしょう。

見学を終えて

見学をさせていただいて、写真では伝わらない建物のパワーを感じることができました。

一つ一つ、シンプルさの中に美しさが宿っている建物でした。