建築士であれば、3年に一度は受けなくてはいけない指定講習会。
先日、受けてきました。

ビデオを見るのに5時間、考査という試験に1時間かかるので、まる1日かかります。

今年は、建築に関わる法律がいくつか変わりました。
緩和、要するに緩くなった法律が多いという印象です。

一般的な住宅だとそれほど関係がないのですが、今回の講習会でも取り上げられていた内容を説明します。

延焼のおそれのある部分の見直し

「延焼のおそれのある部分」とは、敷地境界に近い部分を言います。

隣からの火を受けやすいので、規制がかかるのです。

以前の法律だと、1階部分は敷地境界から3m以下、2階部分は5m以下となっていました。

しかし、壁が敷地境界と平行ではなくて、斜めの場合燃えにくいだろうという事で、その部分には該当しないとなりました。

一般的な地域では問題にならないのですが、宇都宮の街中等にある「準防火地域」の場合にはこの事を考慮しなければいけません。

木造建築物の耐火性能に係る制限

建物の場合、規模に応じて火に強い性能を問われます。
木造の場合、以前は、高さが13m超え、軒高9m超え、という規制がありました。

それが「近いを除く階数が4以上の建築物」、「高さ16m超えの建築物」又は「高さ13m超の倉庫、自動車車庫等」となりました。

周囲に、延焼防止上有効な空き地があれば該当しません。

これに該当する様な木造の建物は、なかなかないと思います。
一般的な住宅では尚更です。

ただし、最近では木造建築物の高層化が世界中で進んできています。
日本でも、木造を増やそうという事で緩和されたのでしょう。

大きな問題による変更

社会問題にまでなったいくつかのことからも、法律が変えられています。

糸魚川大規模火災

住宅にはここまでは言われていないのですが、飲食店の場合には規模にかかわらず消化器具の設置が義務付けられました。

平成28年にあった新潟県の「糸魚川大規模火災」の後に、見直しがされました。

横浜マンションの基礎杭工事

横浜市のマンションにおいて大きな話題となった基礎工事。

再発防止のために「工事監督ガイドライン」が策定されました。

これらの法律は、多くの人が関わることではないのですが、何か起きるとそれに対応して法律が見直されているのがわかります。

建築士指定講習のテキスト

建築士の指定講習が新制度になってから、4回目の講習会でした。

今までのテキストを並べてみると、講習を受けている組織によってテキストが違っているのがわかります。

左から、

  • 2010年 日建学院
  • 2013年 総合資格学院
  • 2016年 総合資格学院
  • 2019年 建築技術教育普及センター

ちなみに、日建学院は表紙も、中身もカラー。

総合資格学院は、表紙はカラーですが、中身は白黒

建築技術教育普及センターは、表紙は2色ずりですが、中身はカラーと2色ずり。

一番豪華なのは、日建学院でした。
9年前のテキストなので、今はどうかわかりませんが。

次に、一緒に配られる別冊です。

これは、3冊しかなかったのですが、どれも表紙が一緒。
中身も、同じ様なところが作っているらしいです。

ここで疑問が一つ。

なぜ、同じテキストでやらないのでしょうか?
わざわざ作るとなると、それだけでもかなりの費用になるはずです。

それに講習内容のばらつきもなくなり、チェック体制も簡易化できるはず。

効率化をして、受講費ももう少し安くて欲しいものです。

今回の講習では、3年に1度でも法律が変わっている事を実感しました。
しっかりと受けると、良い勉強になりますね。

最後の試験がなければ良いのですが。