住宅に利用される材木のうち、高級材木と聞いて頭に浮かぶのが「ヒノキ」の方は多いでしょう。

私もそうでした。
実際、リフォームをしているときに見たたくさんのお家。
ヒノキで作られているお家は、痛んでいる部分が少なかったようにも感じました。

ヒノキを社名に使っている有名な住宅会社もあるほどですからね。

特に、ヒノキはシロアリに強いと言われてきました。
『ヒノキには「ヒノキチオール」が含まれているので、シロアリが寄り付かない』
と聞いたことがある方も少なくないのではないでしょうか。

本当に、ヒノキがシロアリに強いのか?
「日経ホームビルダー 6月号2020」
に実験した結果が掲載されていました。

私も驚いた、驚愕の事実とは!

ヒノキはシロアリに強いのか?

この実験は「ヒノキが本当にシロアリに強いのか、ヒノキ神話は本当か?」を検証するために行われたようです。

その実験方法が、こちらです。

ガラスのケースに完熟土を入れ、そこに300匹のシロアリを放ちます。
最後に、水に浸して湿らせた材木を中に入れます。

比較された材木は、以下の4種類。

  • ヒノキ
  • ヒバ
  • スギ
  • マツ

この状態で31日間観察しました。

重量はそれほど変わらず

実は、うまく差が出なかった実験結果があります。
それは、材料の重量です。

31日間もシロアリに食べさせれば、重量のさも出るのではないかと予測していました。
実験には、この予測はとても大切です。

ところが、31日経っても重量の差は見られませんでした。
残念。

ところが、見た目が全然違っていたのです。
一目瞭然!と言うことですね。

さて、どの材種が一番シロアリを寄せ付けなかったのでしょうか?

シロアリに強い材木は、杉!

第4位 一番被害の大きかったのは「松」

お〜、かなりシロアリが這い上がっていますね。
土が盛り上がったようになっていますが、それを「蟻道」と言います。
15日目で、すでに反対側まで達していたそうです。

「蟻道」は、シロアリは光を嫌うためにシロアリ自身が作るトンネルのようなものです。
このような跡をあなたのお家で見つけたら、気をつけてくださいね。

松は、実際にシロアリにかじられた跡も、ある側面全体に広がっていたそうです。

第3位 まさかここで出てきました!「ヒノキ」

なんと、第3位!
出てくるの、思ったよりも早かったですね。
写真を見ると、しっかりと蟻道を作っているのがわかります。

特に、15日目の中間点以降の進みが早かったようです。

ヒノキは、一定の規格に適合すれば品格法上でも防蟻処理をしなくても良いと指定されています。
薬剤とかに抵抗のある方は利用されることもあったでしょう。

しかし、この結果を見ると、ヒノキといえども防蟻処理はしたほうが良さそうです。

第2位 殺虫成分を含んでいるヒバ

第2位は、ヒバになりました。
ヒバには、殺虫成分でもある「ヒノキチオール」が含まれています。

実験をした方も、ヒバはシロアリに強いと予測していたそうです。

「ヒノキチオール」には「ヒノキ」の文字があるので「ヒノキ」に多く含まれているかと思っている方も多いかもしれませんが、間違いのようです。
特に、日本のヒノキにはほとんど含まれていないと聞いたことがあります。

第1位 安いイメージがあった「杉」、ゴメンね!

なんと、シロアリに一番強い材木は「スギ」でした。

杉と言うと、材木的には安いイメージがありましたが、そんなことないのですね。

蟻道も作られず、シロアリにかじられた跡もなかったそうです。

無垢の床材に杉を採用することが多かったのですが、シロアリにも効果的でした。

家づくりの常識と非常識

今回の実験結果からも、家づくりには思い込みや住宅メーカーの宣伝から間違った知識があることがわかりました。

次回は、シロアリに強い断熱材についてお知らせします!

参考文献

日経ホームビルダー 6月号2020
特集記事「ヒノキ神話は本当か?」
日経BP