前回は、ヒノキがシロアリに強いのかを実験しました。
予想に反して、ヒノキはシロアリに弱い事が判明してしまいました。
そして、杉が思いのほかシロアリに強かったという事実に、驚かされた方も多かったのではないでしょうか?

それでは、もう一つの大切な材料。
断熱材は、シロアリに対してどのくらい強いのでしょうか。

今回も「日経ホームビルダー6月号2020」を参考文献にしてお送りします。

シロアリは、断熱材を突破できるのか?

今回も、木材と同じように4種類の断熱材を実験しました。

今回選ばれた断熱材は、

  • セルローズファイバー
  • グラスウール
  • 発砲ウレタン
  • ポリスチレンフォーム

の4種類です。

どれも、現在の家づくりにおいて、全国で多く使われている断熱材です。
そのような意味では、どれが良いとか、悪いとかというのは置いておきましょう。

最近多い壁体内発泡の断熱材は「発泡ウレタン」です。
基礎断熱などに多く使われているのが「ポリスチレンフォーム」です。

実験方法は、木材の上に断熱材を置き、その上にシロアリを放しました。
そして、31日、待ったのです。

結果は?

一番弱かったのは、想像通りでした。

一番弱かったのは「ポリスチレンフォーム」

これは、大方の予想通りだったでしょう。

ポリスチレンフォームでした。
5ヶ所の穴があり、側面にも3ヶ所のあり道ができていました。

基礎断熱に多く使われている「ポリスチレンフォーム」には、耐シロアリの機能を持っているものもあります。しかし、シロアリを完全に防ぐことは難しいそうです。

注意が必要ですね。

2番目に弱かったのは、発泡ウレタン

2番目に弱かったのは、発泡ウレタンでした。

最近では、壁の中や基礎断熱などにも使われています。

上には2ヶ所の穴が、側面にも1ヶ所のあり道ができていました。

簡単に穴を開けられるので、注意が必要です。

歯が立たなかったグラスウール

全く穴が空いていなかったのが「グラスウール」でした。
多くのシロアリは死んでしまいましたが、若干のシロアリは生きていたようです。

グラスウールはガラス繊維なので、穴を開けにくかったのでは、と考えています。

一部でネガティブキャンペーンもあるようなグラスウール。
寒冷地では今でも主流の断熱材として利用されています。
コストパフォーマンスは抜群ですし、多く利用されている地域で問題が発生しているという話も聞かないのですが。

シロアリが殲滅したセルローズファイバー

放したシロアリが数日で死滅したのがセルローズファイバー。
死んでしまいましたので、大きな被害はありませんでした。

セルローズファイバーの原料は新聞紙など。
本来ならシロアリは好むはずなのですが、なぜ死んでしまったのでしょうか?

セルローズファイバーには、ホウ酸という毒性の高い物質が大量に含まれていて、それを食べると死んでしまうためです。

それが今回の結果につながったそうです。

セルローズファイバーのメーカーは、この「断熱材は哺乳類には安全」と言っています。
この辺りは、あなたの判断にお任せします。

シロアリを見逃すな!

今回、2回にわたってシロアリについての実験を掲載しました。

というのも、シロアリに弱そうな建物が増えているからなのです。

特に、外部に木の板を貼った建物。
デザイン的にはかっこいいですが、本当にシロアリは大丈夫なのでしょうか?

私の知り合いで長崎県佐世保市の工務店社長さんがいます。

その方から聞いた話なのですが、、、

強力な、アメリカカンザイシロアリ

佐世保ででは、アメリカカンザイシロアリが出始めているそうです。
外来種のシロアリです。

日本のシロアリと違うところは、飛んでくるという事。
日本のシロアリは土の中から這い上がってくるので、その点を気をつければ大丈夫なのですが、アメリカカンザイシロアリはそうはいきません。

そして、とっても強力なのだそう。

原因は、米軍と言われています。
米軍基地があるので、運び込まれたと考えています。

実際に、アメリカカンザイシロアリが出てしまった場合、家を布で覆って、家中を燻製にするような感じでシロアリ退治をするのだそうです。

温暖化の影響も!

これからは、栃木県の温暖化も進んでくると思います。

そうすると、色々なシロアリが出てくるかもしれません。

デザインを考えるのはいいのですが、本当に大丈夫なのか、多方面からの検討が必要です。

参考文献:「日経ホームビルダー6月号2020」