「ホントは安い エコハウス」
エコやパッシブハウスで話題の松尾 和也さんが書いた
最新の本を読みました!

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この松尾さんは、
私が色々と指導を受けている方の知り合いで、
私と手塚と荒川はセミナーを受けたこともある方なのです。
その様な方が、様々な経験と実体験を通して
満を持して出版をしたので楽しみに読ませていただきました。
その中でも、今まで噂と疑問があった3点について
書いてあったので、紹介します。

1、基礎断熱は床下断熱よりも暖かいのか?
寒冷地では基礎断熱が多いため、
基礎断熱は暖かい、と言う方がいらっしゃいます。
特に、基礎断熱を採用している住宅会社の人はそう言う様ですね。
しかし、研究者の話を聞くと、基礎断熱も床下断熱も
暖かさは変わらないと言います。
松尾さんは
「床断熱はそれ自体、特に悪いわけではありません」
と書いています。
悪いのは、床の気密処理をしていない会社が多いので、
それが問題なのだそうです。
暖かい空気は上に昇ので、
床の気密を良くしないと床から冷たい空気を吸ってしまうのですね。

2、断熱性能を高くすると、夏も涼しくなるのか?
松尾さんは、
「しばしば耳にするのは
『冬の満足度は劇的に上がったが、夏の暑さがたまらない』
と言う意見です。」
と書いています。
その原因として
「これは『完璧な日射遮蔽』が出来ていないから起こる現象といえます。」
とも書いています。
最近、屋根の出や庇のないお家が多いですよね。
あれでは、窓から夏の太陽熱がもろにお家の中に入ってきてしまいます。
それを防ぐ事が大切と、強く言っています。
ただし、この様にも書いています。
「暖かさを構成する要素は、日射取得5割、Q値(断熱性能)4割、気密1割」
と真逆の事を書いています。
冬には、太陽熱の利用が大切なのです。
ここが難しいところなのです。

3、床暖房は本当に良い物なのか?
松尾さんは、
「床暖房がいいのかと言うと、一概にそうは言い切れません。
床暖房は広い面積に敷設するとイニシャルコストが非常に高価になり・・・」
と書いています。
床暖房は快適ですが、
確かにそれが入ったからと言っていいわけではないのですね。
せっかく断熱性能を高くしても、
工事費や暖房費が上がってしまっては意味がありません。
私の知り合いは、
前面に床暖房を入れたのですが
暑くなりすぎて使うのをヤメてしまったそうです。
上手に使う工夫が必要です。
ちなみに、松尾さんはエアコンを床下に吹き出させる方法を採用しています。
最近、マニアックな住宅会社で流行っている方法です。
ただこの方法には大きな問題もあります。
床下用のエアコンはまだ発売されていないので、
一般のエアコンを使うことになりますから、
トラブルに対しては自己責任になります。
読んでみて、実にしっくりとくる内容でした。
今まで学んできた事、経験してきた事に間違いは無さそうです。
ただし、この様な温熱環境につきましては、
どの方法が絶対に良いと言う程の結論は出ていません。
まだまだ研究途中だと思っていただいた方が良いと思います。
参考文献:
「ホントは安いエコハウス」
著者:松尾 和也
発行:日経BP社