エスホームでは、いくつかの賃貸物件を持っています。

そのうちの一つが、鹿沼市晃望台にある大人気のネイルサロン「モンロー」さん。

「モンロー」さん、いつ行ってもお客様がいるのですよね。
ネイルとかやったことがないのでよくわからないのですが、とってもキレイにしてくれるのでしょう。

この「モンロー」さんに借りていただいている建物がこちらです。

平成元年にできているので、築32年、といったところでしょうか。

かなりのメンテナンスが必要になってきます。
特に、外回りが心配ですよね。

そこで、今回は外壁と屋根などを補修することにしました。

まずは、現況把握。

32年経った外壁のALCは、どのようになっていたでしょうか?

ALCと書きましたが、最近ではあまりお馴染みで無くなってきているかもしれません。

ALCとは、経年変化に強く、とても安定した素材で構成されるボードの事

ALCとは、外壁などに使われる材料の一つ。
最近では、サイディングやガルバニウム鋼板が多くなってきているので、ALCの採用は減っています。
私自身、手がけたお家でもALCを利用したことはありません。

一時期は、テレビでも広告が流れたりしていました。
ALCの上に「ひよこ」がいて、下から火で炙る、あのCMです。
ヘーベル・パワーボードと言った方が知っている方も多いかもしれませんね。

なぜ最近は人気がなくなってしまったのでしょうか?

デザイン性に劣るALC

最近は使われなくなったALCの理由とは?

ALCは性能的には良かったのですが、デザイン性に劣りました。

構造的なことや、材質的なこと、塗装などを考えても建物の形をカッコよくデザインしにくいのです。

サイディングのように、タイル風や、木目調などさまざまな形にはしにくいようですね。

では最近は使われていないかというとそうでもありません。

事務所や倉庫、材料によっては床材も利用されています。
床に使うくらいですから、強度があることもわかりますね。

32年経っても大丈夫!ALCの耐久性は予想以上!

実際に、外壁を見てみましょう。

写真は、南側です。
一番損傷の大きかった場所でもあります。

その一部の写真を見てください。

塗膜にヒビが入っていますね。

ヒビの下には、コーキングが打ってあります。
コーキングとは、ALCの板と板のつなぎ目を埋めるゴムのようなものです。

サイディングだと、このコーキングが硬くなってしまい、コーキング自体の割れや隙間ができてしまいます。

塗膜にはヒビが入っていますが、コーキングはまだ弾性(やわらかさ)を保っていました。

30年経っても弾性を保ったALCのコーキング

この、コーキングが弾性を保つ事がとっても大切です。

雨漏れを防ぎ、地震などによる建物の変形にも追従してくれることになるからです。

コーキング自体は、一般的には10年も耐久性がありません。
メーカーでも、7年くらいで劣化が始まると言っています。
そう、思ったよりも早いのです。

ところが、このALCのコーキングは弾性を保っていました。
この結果は正しいのでしょうか?

間違いないか心配だったので、調べてみたところメーカーも同じことを書いていました。

以下、メーカーである旭化成建材のHPから抜粋したものを読んでみてください。



見逃してしまいそうなことですが、これらのことは、とっても重要かつ大切なことです。

特に「3、目地の断面」については、今回の建物で感じた私の考えとほとんど同じだったので驚きました。

メーカーで出しているメンテナンスのイメージがこちらです。



塗装は15年毎に推奨していますが、コーキングについては書いていません。

なぜでしょう?

一般的なサイディングと違う構造

実は、一般的なサイディングとコーキング部分の構造が違います。

一般的に、コーキングの上に塗装はしません。

サイディングでも、塗装済みの板と板の間に、コーキングを打ちます。
そのため、コーキングの上には塗膜が乗らないのです。

ところが、ALCは全部貼り終わって、コーキングを打ってから全面的に塗装をします。
そのため、コーキングの上に塗膜が乗るのです。

ALCでは、コーキングを塗膜自体で守っているようですね。

また、ALCは専用のコーキングを利用します。
これも高寿命につながっているのかもしれません。

最近ではALCの種類も増えてきました。

高寿命を最優先にしたい方は、外壁材の一つとして考えても良いと考えるようになりました。

次回は、屋根についてお伝えします。